TTT(トラディショナルトレーニング)発表会

TTTとは・・1984年から毎年開かれている古典芸能を学ぶ講座。オリエンテーションを経て、能・狂言・日本舞踊と3講座にわかれ、約3週間の講座を受け、成果発表が行われる。国内外から参加者を募っているらしく、今年も参加者の約半数が外国人だった。で、やっぱり参加者は役者・ダンサー・演出家など表現に携わっている人がほとんどでした。

発表会前日のお話から。私たち狂言の講座は茂山あきら先生、丸石やすし先生、茂山童司先生と、3人の先生に日替わりで習っていたのですが、
この日で丸石先生とはお別れ。明日の発表会は丸石先生は他のお仕事の為来ていただけないので、今日で本当に最後。
そのため明日発表会なのにみんなで飲みに行きました(笑)おおらかというか、暢気というか狂言受講生。
なんか・・日舞の子とかはかなり緊張や悲壮だったらしいんだけど・・。少しの時間だったけど、すごく貴重なお話ができた。
丸石先生は茂山家の人ではなく、途中から狂言の世界に入った方。
お稽古の時も、すごく細やかな指導で、きっちりきっちり丁寧に教えていただいた。
芝居でもよく基礎が大切」って言われるけど、それを古典芸能を通して身に染みて感じた。
基本が出来て、やっと次のことができるのである。

「だから基本は大切なんよ。」すごく説得力がある、丸石先生の言葉。
なんか涙出そうになったです。
この日帰宅したのは0時過ぎ。ほほ。

とうとう発表会本番。
会場は京都にあります大江能楽堂。こじんまり(?)というか、素朴でとても居心地のいい能楽堂なんです。
会場入りして、早速リハーサル。狂言から。
まずは衣装に着替える。今回ありがたいこと、本当の狂言のお衣装を着せていただけることに。
ドキドキ。ふと見ると、袴には「茂山」と刺繍されていた。鼻血ものですね(笑)
さて着せてもらった直後、リハーサルまでもうあまり時間の無かった私たちは、とりあえず能舞台に慣れようと、舞台へと。
数歩歩いたところで、袴が落ちた。もう一度着なおし。
普通は袴って腰骨で止めるんでしょうが、私の曲がった身体では止められないようだ。
今度きつめに締めてもらう。何とか落ちないようにと願いながらリハーサル開始。

私たち狂言組が発表会で演じるのは、狂言 「しびり」そして小舞「土車(つちぐるま)」、「京童(きょうわらんべ)」
小舞は実際に舞うのは1演目だけで、もうひとつの演目の時は謡に入る。さて、早速「しびり」のリハーサル。
狂言「しびり」では私座るシーンがあるんですが、お衣装がきつくてまず座れない・・。無理して座ってみたら、次は立てなくなりました。
また足袋だと床が滑るんです。先生に起こしていただくことに。。
「座らなくていいから。そうだな後ろ向いて」 あきら先生からの指示が飛ぶ。
またここ数日、私の右足は義足の調子がとっても悪かった。
日によって違いもあるのだが、この日は右足に体重を乗せられないくらいにまでひどくなっていた。
楽屋で何度か義足を付け直してみたりもしたけど、なかなか痛みは取れない。
出来るだけ足に負担をかけないように、すり足でごまかしてはみたんですが、不安は増大。
リハーサルは衣装の動きにくさと、足の痛さにより、訳のわからないうちに終った。
そして楽屋に帰るとやっぱり袴は落ちかけている。マズイよ・・。本番大丈夫かな・・。

●お衣装お着替え編
厚いし、暑いんですよ〜、この衣装 よく落ちた袴・・。
あきら先生も童司先生も、
かなり試行錯誤されてたようで・・。
どう?かっこいいでしょうか?
空き時間はひたすらおさらいをし、本番です。 能・狂言・日舞とランダムに各生徒の発表がある。
なんと、生徒のトップバッターは私たちの「しびり」です。メチャ緊張〜。
そしてやっぱり気になる衣装。
この時は、あきら先生・童司先生、かなり試行錯誤してくださり、結んでくださる。
でも落ちないか・・それだけが心配・・。余計な所に気がいってしまったせいか、今まで稽古では間違えたことのない場所で、台詞を言い間違える。
すぐに思い出したんだけど、後見のあきら先生が救いの手を差し出してくださったのと同時になってしまいました。
やっぱり本番って怖いですね・・。
「しびり」が終って、次は小舞の謡へ。間にあまり時間が無い。
でもここで私たち(狂言・日本人組)は衣装を浴衣&袴に着替える。
浴衣がね・・帯がまともに結べない私(いや・・結べるんだけどね時間がかかりすぎるのよ)かなり焦る。
童司先生に結んで頂いていたのですが、それでも間に合わず、
側にいた能の先生にまで手伝っていただくことに。ありがとうございます!
小舞なんですが・・未だにどうしても思い出せないことがあって。
扇をかざす振りがあるのですが、それをかざしたかどうか・・全く覚えてない。
ビデオが来るのが恐ろしい・・。
●発表会本番編
 
●狂言「しびり」
●小舞「土車」
発表会全体の約半分くらいで私の出番は終わり。着替え、片付けをした後、客席へ回り他の受講生の発表を観る。
もうね〜、すごいと思った。2週間でこんなにできるんだな〜って。仕舞(能)もカッコよかったし、日舞なんか本当に素晴らしかった。
生徒の発表の最後は、狂言・外国人組の「しびり」。
日本人組のまり子&私は客席で、母のような眼差しで(笑)見守りました。
でも・・なぜにあんな
に笑いが・・。同じもの演ってるのに・・。
その後は先生方の番外発表。みんな各受講生、自分の先生の演技食い入るように見ていたのが印象的でしたね。
そして終了。

後片付けの後、打ち上げです!烏丸御池のとある飲み屋さんにて。テーブルも、能・狂言・日舞と分けられる。
乾杯の後、各テーブル大盛り上がり。先生にお礼のお花やプレゼントを渡したり。
ちなみに我が狂言受講生は、うちわに寄せ書きをしていたんですね。それにこの間みんなで撮ったプリクラを貼って。
丸石先生には昨日お渡しした。あきら先生&童司先生には喜んでいただけたようで、嬉しかった。
でも童司先生に「なんでボクのだけプリクラ、ホラーバージョンやねん・・」
この間狂言受講生でプリクラ撮ったんですが、今のプリクラっていろんなバージョンがあるんですね。
今回のもキラキラバージョン、ノーマル、そしてホラーと3種類のプリクラが一回で撮れる。
どの先生のうちわにどれを貼ろうかな〜なんてみんなで考えまして。
みんなして「童司先生には、これ」と言った(笑)

この打ち上げの間、あきら先生の隣に私はずっと座っておりまして、いろいろとお話する機会がありました。
「なんで狂言勉強しようと思ったん?」いや・・白状しますと・・私は最初、能志望でして・・。
でも今は狂言で本当によかったし、すごく楽しかったんですけどね。でも気にはなってたんだ。
受け入れにくかったんじゃないかな・・って。やっぱりこの身体で能とか狂言とかやりたいっていう人もあまりいないだろうし。
ただ、この時あきら先生に言われた言葉で新鮮だったのは、「聞いてたけど、あまり気にしてなかった。
出来ることはできるやろうし、出来ないことは出来ないやろうし。そうしたら出来そうな方法考えるし。」
「狂言が発祥した時代の方が障害者っていう人の存在が変に特別ではなかったかも。たとえば琵琶法師なんかも普通にいるし、狂言の演目の中にも普通に障害者出てくるし。室町とかの方が障害っていうものの捉え方が、きっと今よりも普通かもしれへんな。」それはそう思った。
「だからあんまり気にしてない。」、と。嬉しかったな。それに新しい発見だったな。

1次会の後、あきら先生が狂言講習生の側に近づいてきて
「もう一軒行くやろ?」「はい!」
結局ほとんどのメンバーが2次会へ。だって今日は最初から京都に泊まるつもりだったも〜ん。
2次会の時は席が自由だったので、最初は日舞組の人たちの中に入れてもらう。
時間が経つと、なぜか私はやっぱりあきら先生の隣にいました。この時は国の違いによるのものの捉え方・思想みたいなのを延々と。
内容的にはそんなに真面目な話ではなかったように感じるんだけど(笑)
そいうえばあきら先生が「このTTTの打ち上げって好きでなぁ」って言ってらっしゃった。
「なんか寂しくないやろ。お別れっていうより、いつかまた会えるっていう、明るさがある。そしてとことんいろんな話ができる。」
確かに、そう思う。国や場所は違えども、同じようなフィールドで活動している人たちなので、
いつかまた会えるような気がする。何かを続けている限り。
午前2時30分おひらきに。
なんか能メンバーはその後カラオケに行ったという噂もあるんですが
(外国人の受講生がずっとカラオケボックスを経験したいと言っていたので)。

一流の先生方に習え、発表会までさせていただける、とっても贅沢な講習会でした。
この3週間、京都通いはちと大変だったけど、本当に素敵な経験をさせていただいた。
毎日、毎日、全然知らないことをたくさん学べて、それがもう楽しくてしょうがなかった。
それは技術のみでもなくて、先生の人がらや、話される言葉からも、そしてバラエティに溢れた同じ参加者からも感じた。
私は、この講習会を通して自分の根っこを感じられたように思う。
自分が日本人の表現者なんだという自覚を初めて持った。持つことが出来た。
それはとても誇りです。
これを機に私は新たなるチャレンジをひとつ始めようかと思っています。
これはまた、後日。

 
茂山あきら先生&童司先生、狂言受講生 
今年のTTT女性日本人受講生(能・狂言・日舞)